前回は の地点で止まっていました。
4コマで先に見る
BDNF、きみの正体は?
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1問題
肉、卵、野菜がのった皿とフォーク、ナイフ お正月太り…
ストレスとどか食いが続くと、体も心も重くなります。
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2しくみ
脳の上から芽が出てくる図 ぼくはBDNF
BDNFは神経細胞を育てる神経栄養因子で、学習と記憶を助けます。
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3実践
軽やかに走る人と動きの線 ほどよく動こう
ほどよい運動と健康的な食事がBDNFを高めます。
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4変化
穏やかな波が流れる脳と、ゆっくり打つ心臓 失敗は基本!
BDNFはレジリエンスを高め、転んでもまた立ち上がらせてくれます。
間欠的ファスティングをするとBDNF(Brain-derived neurotrophic factor、脳由来神経栄養因子)が増え、認知機能の向上によい役割を果たすという記事を読んだことがあるでしょう。
「おお、そうか! じゃあBDNFさえ高めれば、脳の可塑性によい影響を与えて、脳の働きをずっとよく保てるんじゃない?」とわたしは思いました。でも勉強すればするほど、BDNFはたしかにわたしたちに必要で大切な遺伝子だけれど、きちんと勉強しておくべき遺伝子だと考えるようになりました。ここからは、BDNFとは何で、体の中でどんな役割を果たしているのかを知り、脳の働きを高める方法を正しく学んでいきましょう。
もくじ
- BDNFとは?
- BDNFの役割
- BDNFを高める方法
1. BDNFとは?
1)BDNFは、ストレス反応による過食を調節する遺伝子です
BDNFの遺伝子は、ホルモンの分泌をとりしきる脳下垂体で働き、BDNFとその受容体(TrkB)は、視床下部と後脳(hindbrain)のエネルギーバランスの中枢に広く分布しています。視床下部でBDNFがもっとも多く分布しているのはVMH(腹内側視床下部。食べる量の調節に大切なニューロンが多く集まっている場所)です。
BDNFは、食欲の調節にかかわるほかの部位、たとえばDMH(背内側視床下部)、PVN(室傍核)、LH(外側視床下部野)などでも発現します。食欲の調節にかかわるBDNFの分泌が少ないと、ストレスが憂うつや不安を引き起こすストレス性の過食が増えます。心の感じやすさに左右されるため、特定のストレス状態に置かれると過食を引き起こすという特徴があります。
またBDNFは、脳幹から腸へとのび、消化管から脳へ感覚情報を送ったり、食べるときに胃の筋肉へ感覚情報を送ったりする神経である迷走神経の中の、感覚経路の発達を調節するのに大切な役割を果たしています。
(メディカルトゥデイ、ウェルビーイング「腸から脳へ向かう神経経路の強化で『食べる量を減らせる』」2014年8月5日)
2)BDNFは、神経系の成長因子の一部である神経栄養因子のグループのひとつです
2003年9月26日に学術誌『Neuroscience』に発表された研究によれば、BDNFは脳内のシナプスの強さを高めます(Neuroscience, volume 121, issue 1, pages 1–252, September 2003)。また、神経の再生を助け、中枢神経系と末梢神経系の両方の神経細胞に働きかけます(論文 “Sulforaphane epigenetically enhances neuronal BDNF expression and TrkB signaling pathways”)。
このように、もともとBDNFは神経細胞の生存を保ち、分化や可塑性(plasticity)に影響することで知られていましたが、最近ではエネルギー恒常性にかかわる神経回路の欠かせないメンバーとして注目されています。
出典:[BRIC Bio通信員]過食による肥満を仲立ちするBDNF
2. BDNFの役割は?
1)脳の学習と記憶にもかかわり、認知機能を高めるのにも大切です
BDNFは、記憶と学習を担う海馬、言葉を理解する側頭葉、認知機能や計算、決定を担う前頭葉に働きかけて、新しい神経細胞をつくり、そのつながりを密にしてくれます。また、BDNFは脳だけでつくられ分泌されるのではなく、筋肉でもつくられ、抗炎症や免疫の働きにかかわっています。
2)レジリエンス(回復力)を高めてくれる
わたしたちはいま、新しいことに挑戦して失敗したとき、強い恐れを感じます。でもレジリエンスをもつ人は失敗を恐れず、「失敗は基本、成功はオプション」という心がまえでものごとを進めます。つまりレジリエンスとは、成功への執着ではなく、どんな失敗も恐れない心がまえのことです。BDNFを高い濃度で発現させるよう指示する遺伝子の変異をもつ人は、脳がとても丈夫で海馬が大きく、新しい記憶をかんたんにつくってたくわえ、新しい考え方の枠組みを生み出します。
3. BDNFを高める方法
運動はわたしたちの脳を幸せにするだけでなく、頭をよくしてもくれる。運動は年老いた神経細胞どうしをつなぐ網をつくり出し、脳細胞に血液と栄養を送る。とくに運動をするほど脳で生まれる神経栄養物質BDNFは、知的能力を高める。
『回復弾力性』(キム・ジュファン)より
回復力とは、逆境を経験したにもかかわらず、健やかな人生観を保つ能力だと定義される。
『運命の科学』265ページ
1)ほどよい運動が、海馬の脳細胞を新しくつくります
2)健康的な食べ物をとります
3)ビタミンDをとるよりよい、日光を毎日10分、20分ずつ浴びます
4)楽しく、好きな食べ物を楽しみます
5)人とのつながりを深めます
孤独な人はアルツハイマー病を発症するリスクがとても高く(Wilson et al. 2007a)、人との交流が病気の発症を遅らせうることを示しています。
次回は、BDNFが弱いときにあらわれる問題と、BDNFの分泌をさまたげるものについて見ていきましょう。
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