前回は の地点で止まっていました。
4コマで先に見る
態度も反射回路だった
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1問題
机の前で浅く息をする人と、頭上で鳴る警報ベル かっ!言葉が先に出た
とげのある言葉を聞くと、考えるひまもなく、とがった返事が飛び出します。
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2しくみ
合図から行動、報酬へとつながる輪 ベルの音でよだれが出るように
条件反射:くり返す感情の反応や口ぐせは、脳が学習しておいた自動の回路です。
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3実践
刺激を表す矢印と反応のあいだに置かれた一時停止マーク 0.1秒だけ止まろう
刺激と反応のあいだの短いすき間に気づけば、ほかの選択肢を選べます。
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4変化
一段ずつ上る階段と、てっぺんの旗 新しい反射をつくろう
態度は生まれつきの性格ではなく、反射の積み重ね。小さなくり返しが新しい回路をつくります。
会議中にとげのある言葉を聞いたとき、考えるひまもなく、とがった返事が先に飛び出してしまったことはありませんか。あとで振り返ると、なぜあんなふうに反応したのか、自分でも不思議に思うことがよくあります。
その反応は、実は考えではなく、 脳の反射でした。
私たちはふつう、性格や感情をコントロールする力の問題だと考えますが、脳科学では、こうしたすぐに出る反応を「反射」という考え方で説明します。反射とは、刺激が入ってきたとき、脳が深く考える前に、体や感情が先に動く現象のことです。
ところが、この反射が、ひざをたたくと足がはね上がるような体の反応だけにとどまらない、という点が興味深いところです。くり返す感情の反応、口ぐせ、習慣的な態度までも、結局は脳が学習しておいた一種の反射回路だという話が出てきているのです。今日は、この反射の力がどうつくられ、なぜ私たちの態度まで決めてしまうのかを、ひとつずつひもといていきます。
反射――脳より脊髄が先に動く瞬間
熱い鍋に手がふれたとき、私たちは痛みを感じるより先に、もう手を離しています。刺激の信号が脳まで上がって、また命令を送り返すのではなく、脊髄の段階ですぐに処理されるからこそ可能なスピードです。実際にこうした反射は0.1秒前後という、意識的な判断では決して追いつけないスピードで起きます。
病院でゴムのハンマーでひざの下をとんとたたくと、足がひとりでにはね上がる検査を受けたことがあるでしょう。代表的な反射反応である膝蓋腱反射で、神経回路が正常に働いているかを確かめる、もっとも基本的な方法として使われています。このように脳は、すべての刺激をいちいち判断するのではなく、生存に直結する信号は近道で先に処理してしまうしくみをもっているのです。
パブロフの犬は、なぜベルの音にもよだれを流したのか
反射は、生まれつきのものだけではありません。生理学者のパブロフが、犬にえさをやるたびにベルを鳴らす実験をくり返すと、やがてえさなしでベルの音を聞かせるだけで、犬がよだれを流しはじめました。もともとはえさにだけ反応していた体が、くり返しの経験を通して、まったく関係のなかったベルの音にも同じように反応するよう学習したのです。
これを条件反射と呼びますが、人もたいして変わりません。スマホが振動すると、話している最中でも手がひとりでにポケットへ向かい、通知音を聞いただけで胸が少しきゅっとなるのも、学習された条件反射に近いものです。
結局、くり返される経験は、もともとなかった自動の反応回路を、脳の中に新しくつくり出せるという意味なのです。
口ぐせも習慣も、くり返しがつくった条件反射だった
いらいらするたびに同じ口調が飛び出したり、ストレスを受けるたびに爪をかんだりする行動も、この条件反射の延長線上にあります。はじめは意識して選んだ反応でも、同じ状況で同じやり方を何度もくり返すと、脳はその経路をだんだん速く効率のよい回路へと整えていきます。
脳科学では、こうしてくり返される行動のパターンが、大脳基底核という領域を中心に保存されると説明しています。はじめて自転車を習ったときは全神経を集中させなければならなかったのに、いまでは何も考えずにペダルをこげるのと同じ原理です。口ぐせや感情の反応もこうして固まってしまうと、あとで意識して止めるのがずっとむずかしくなります。
態度は生まれつきの性格ではなく、反射の積み重ねである
誰かのことを「もともとああいう性格だ」と言ったりしますが、脳科学的に見ると、その態度のかなりの部分は、長い時間くり返されてきた反射反応が積み重なってできた結果に近いのです。怒ると真っ先に声を荒げる人も、つらい状況でも笑って受け流す人も、それぞれ数えきれないほどくり返してきた反応のパターンをもっているわけです。
態度を変えることがこれほどむずかしい理由も、ここにあります。単に気持ちを引きしめる問題ではなく、すでにかたく固まった神経回路と戦わなければならない問題だからです。逆に言えば、その回路がくり返しでつくられたという事実そのものが、またくり返しによって変えられるという希望でもあるのです。
自動の反応を変えるカギ、反応する前の0.1秒のすき間
すでに固まった反射回路を一度に消すことはできませんが、刺激と反応のあいだに、ごく短いすき間をつくるだけでも、変化は始まります。
怒りがこみ上げてきた瞬間に大きく一度息を吸う、あるいは反応する前に、いま感じている感情に名前をつけてみるだけでも、前頭葉が割りこむ時間をかせぐことができます。
この短いすき間が大切なのは、その瞬間に前頭葉が、これまでの自動の反応のかわりに、ほかの選択肢を検討するチャンスを得るからです。はじめはぎこちなく不自然に感じても、このすき間を意識してつくる練習をくり返していけば、反応のスピードそのものが少しずつ変わっていくのを感じられるはずです。
新しい反射は、小さなくり返しから始まる
結局、これまでの反射を消すいちばん確かな方法は、その場所に新しい反射を入れることです。パブロフの犬がベルの音に反応するよう学習したように、私たちも望む反応を意図してくり返せば、その反応もだんだん自動化していきます。
- 感情が高ぶる状況を前もって書き出し、自分なりのパターンをつかむことが第一歩です。
- 同じ状況で使う新しい返しのひとことを前もって決めておけば、反射的に飛び出していた言葉をつかまえる余裕が生まれます。
- 毎日同じ時間に、短くても新しい反応をくり返し練習すれば、数週間後にはそれもひとつの反射のように自然になります。
態度は一晩でできたものでも、一晩で変わるものでもありません。ただ、これまでの反応がくり返しでつくられた反射だったと知るだけでも、次にその瞬間が来たときには、少し違う選択をしてみる余地が生まれるのではないでしょうか。
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