前回は の地点で止まっていました。
4コマで先に見る
カーニボア食の正体
-
1問題
うなだれた疲れた人と、ほとんど空になった電池 集中できない…
炭水化物中心の食事のあと、集中力がにぶるという人はたくさんいます。
-
2しくみ
脳の上から芽が出てくる図 ケトン体が燃料に
炭水化物を減らすとケトン体が脳の燃料になり、BDNFを刺激するといわれています。
-
3実践
肉、卵、野菜がのった皿とフォーク、ナイフ 肉と卵から
動物性食品中心にゆっくり変えつつ、水分と電解質をかならずとります。
-
4変化
穏やかな波が流れる脳と、ゆっくり打つ心臓 すっきり、でも慎重に
効果を語る体験談もありますが、持病があるなら専門家への相談が先です。

肉だけ食べたら脳が変わったという 食事法があるって?
最近、低糖質食をこえて、野菜や穀物をすっかりやめて肉と動物性食品だけを食べるカーニボア食が、健康コミュニティでひそかに話題になっています。ダイエット効果だけでなく、集中力や記憶力がよくなったという体験談が続くなか、その背景にBDNFという聞きなれない言葉が登場しています。脳の健康まで守れるという話に、わたしも最初は半信半疑でした。
BDNFは脳由来神経栄養因子の略で、神経細胞をつくり、そのつながりを強くしてくれるタンパク質です。この値がよく保たれていると、学習能力や記憶力、気分の調節にも役立つことが知られています。そして、このBDNFを刺激する方法のひとつとしてカーニボア食が挙げられ、関心が高まっているのです。
そこで今日は、カーニボア食が具体的にどんな食事法なのか、BDNFとどんな関係があるといわれているのか、そして実際にはじめるならどう取り組めばいいのかまで、ひとつずつまとめてみます。極端な食事法なので、長所と短所をバランスよく見ていきましょう。
BDNFとはいったい何で、なぜみんな増やそうとするの?
BDNFは脳の中で神経細胞の生成と生存を助け、シナプスと呼ばれる神経のつなぎ目を丈夫にしてくれるタンパク質です。筋肉を育てるには刺激が必要なように、脳もこの物質が十分にあってこそ、新しい神経のつながりをつくり、保てることが知られています。年をとるにつれて自然に減っていく傾向があるため、最近はそれをなんとか保ったり増やしたりする方法に関心が集まっています。
運動、睡眠、食習慣などさまざまな要因がBDNFの値に影響するといわれていますが、なかでも食事が注目される理由は、血糖と炎症の状態が脳の環境に直接影響するからです。血糖が上下したり慢性的な炎症があったりすると、脳のコンディションにも負担になりうる、ということです。カーニボア食がここで話題になるのは、そうした背景があるからです。

カーニボア食とは、具体的にどんな食事法?
カーニボア食は文字どおり肉食中心の食事法で、肉、魚、卵、少量の乳製品くらいだけを食べ、野菜や穀物、果物、砂糖はほとんどとらないやり方です。低糖質食やケトジェニック食よりも、さらに極端に炭水化物を制限すると考えればいいでしょう。牛肉やラム肉のような赤身の肉を中心に、内臓肉や魚を添える組み合わせが一般的です。
野菜をまったく食べないという点で、はじめて知るとなじみにくく感じるかもしれませんが、実際にこの食事法を試した人の多くは、消化が楽になり、お腹の張りが減ったと話しています。ただ、これは個人差が大きい部分なので、誰にでも同じ効果があらわれるわけではありません。

炭水化物を減らすとケトン体が 脳の新しい燃料になるといわれています
カーニボア食がBDNFを刺激するといわれる理由
カーニボア食のように炭水化物をほとんど食べないと、体はケトン体という代わりの燃料をつくり出します。このケトン体が、脳でBDNFの生成を助けるシグナルとして働きうるという研究が出てきています。人を対象にした大規模な研究はまだ十分ではないため断定はできませんが、低糖質の状態が脳の神経可塑性によいシグナルを与えうる、という方向で語られています。
もうひとつは血糖の安定です。血糖が急に上がったり下がったりする食習慣は、脳にも炎症反応を起こしうることが知られていて、カーニボア食は血糖の変動幅が比較的小さいので、この点で利点があるという見方もあります。ただし、これはすべてまだ研究が進められている分野だということは、心にとめておくのがよいでしょう。
実際にはじめるなら、こう取り組んでみてください
最初から野菜や穀物を完全にやめるのは体に負担になりうるので、段階的に取り組むことをおすすめします。まず精製された炭水化物、つまりパンやお菓子、清涼飲料から減らし、その分を肉や卵で埋めてみるのが第一段階です。この段階で体が慣れるまでには、ふつう一週間ほどかかるといわれています。
第二段階では、野菜の割合を少しずつ減らしながら、肉の種類を広げていくのがよいでしょう。赤身ばかりにこだわるより、脂身のついた部位や内臓肉も一緒に食べてこそ、栄養のバランスがくずれません。三つめに、水分と電解質の摂取をかならず意識してください。野菜を食べないとカリウムやマグネシウムの摂取が減ることがあるので、塩と水をふだんより気をつけてとるのがおすすめです。

食べてもいいものと、避けたほうがいいもの
カーニボア食の基本になるのは、牛肉、豚肉、鶏肉、ラム肉といった肉類と、サーモンやサバのような魚です。卵もすぐれたタンパク源とされ、バターやチーズのような乳製品を少し添えることも多いです。味つけは塩とこしょうくらいにして、素材そのものの味を生かすやり方が一般的です。
反対に、米や小麦粉のような穀物と野菜、果物、砂糖の入った加工食品は、この食事法では除かれます。ナッツ類や豆類も制限することが多いです。最初は食べるものがないように見えますが、実際に肉の部位や調理法を変えてみると、思ったほど単調にならずに献立を組み立てられます。
効果はあっても、注意すべき点もはっきりあります
カーニボア食で体脂肪が減り、頭がすっきりしたという体験談が多いのは事実ですが、同時に便秘やコレステロール値の変化を経験したという話も出ています。食物繊維の摂取がほとんどなくなるため、お腹の調子に敏感な人は最初のうち不快に感じることがあります。
腎臓や肝臓に持病がある人、妊娠中の人は、こうした極端な食事法をはじめる前にかならず医療者に相談してください。長く続けるつもりなら、定期的に健康診断を受けて体の状態を確かめることも忘れずに。なにごとも体に無理のない範囲で、自分のコンディションを見ながら調整するのがいちばん大切です。
結局、カーニボア食とBDNFの関係はまださかんに研究されているテーマなので、これさえすれば脳がよくなると断定するのはむずかしいところです。ただ、血糖を安定させ、精製された炭水化物を減らすという方向そのものは、多くの健康指標に役立つことが知られているので、極端にまねするより、自分の体に合わせて応用してみることをおすすめします。はじめるなら、ゆっくりと体の反応を見ながら進めてみてください。
カーニボア食と脳の健康の情報をこれからもチェックしたい人は、ぜひフォローしてください!
この記事は役に立ちましたか?
選択はこのブラウザにのみ保存され、どこにも送信されません。