前回は の地点で止まっていました。
4コマで先に見る
脳は10%しか使っていない?
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1問題
考えにふける人の上で灯る電球 隠れた90%を目覚めさせる?
映画や広告でおなじみの「脳10%説」には根拠がありません。
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2しくみ
2つの神経細胞が枝を伸ばしてつながる瞬間 脳はすべて使っている
脳には休ませておく余裕はなく、必要な回路を選んで使っています。
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3実践
開いた本とペン 少し難しめに練習
少し難しめに練習し、睡眠と運動もあわせて大切にします。
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4変化
脳の上から芽が出てくる図 使ったとおりに変わる
神経可塑性:ロンドンのタクシー運転手の海馬のように、脳は使ったとおりに変わります。
「人間は脳の10%しか使えていない。残りを目覚めさせれば驚くべき能力が手に入る」。映画のおなじみの設定であり、学習法の広告の古い決まり文句です。魅力的な話ですが、脳科学者がもっともよく訂正する誤解のひとつでもあります。
脳には、休ませておく部分をもつ余裕はない
成人の脳は体重のわずか約2%にすぎませんが、体が休んでいるときに使うエネルギーの約20%を消費します(Raichle & Gusnard, 2002)。進化の観点から見れば、90%が遊んでいる器官をこれほど高いコストで維持する理由はありません。
脳画像の研究も同じことを語っています。機能的 MRI や PET で脳を撮影すると、一日のなかでさまざまなことをするあいだに、脳のほぼすべての領域がどこかの瞬間に活発に働いています。ある瞬間にすべての領域が同時に最大限活動していないのは事実ですが、それは「使っていない」のではなく、必要な回路を選んで使っているのです。すべての領域がいっせいに強く活動する状態は、むしろ発作に近いものです。また、脳のごく小さな部位が損傷しただけでも、言語や運動、記憶などにはっきりした問題が生じるという事実は、脳に「余った90%」などないことの強力な証拠です。
神話よりも驚くべき事実:脳は使ったとおりに変わる
10%神話が間違っているからといって、脳の可能性が決まっているわけではありません。脳は経験と繰り返しによって結びつきを強めたり弱めたりし、ときには構造そのものが変わります。これを神経可塑性と呼びます。
代表的な例が、ロンドンのタクシー運転手の研究です。ロンドンでタクシーの免許をとるには、複雑な都心の数えきれない道を覚えなければなりません。研究チームが熟練したタクシー運転手の脳を撮影したところ、空間のナビゲーションに関わる海馬の後部が比較群より大きく、運転歴が長いほどその体積も大きくなっていました(Maguire ほか, 2000)。経験が脳の構造と関わりうることを示した研究です。
神話から何を持ち帰るべきか
10%神話が長く生き残ってきたのは、「自分にもまだ使っていない可能性がある」という信念が人を動かすからでしょう。その信念そのものは間違っていません。ただし、隠れた90%を「目覚めさせる」秘密の技術はなく、可能性は繰り返しの練習と経験が回路を組み直すことによって現実になります。このサイトが「信じるゲーム、実行」という名前である理由でもあります。
今日の実践
- 「脳の潜在能力を開放する」とうたう広告は、一度疑ってみましょう。 特定の飲み物や音、機器が隠れた脳を目覚めさせるという主張には、たいてい根拠がありません。
- 新しく身につけたい技術をひとつ決め、毎日少しずつ繰り返しましょう。 可塑性は、強さよりも繰り返しと継続に支えられています。
- 少し難しめに練習しましょう。 すでに簡単なことばかり繰り返すより、少し手ごわいレベルにとどまるほうが、脳はより変わる理由を得ます。
- 睡眠と運動もあわせて大切にしましょう。 記憶の整理と海馬の健康を扱ったほかの記事が、この実践を支えてくれます。
参考文献
- Raichle, M. E., & Gusnard, D. A. (2002). Appraising the brain’s energy budget. Proceedings of the National Academy of Sciences, 99(16), 10237–10239.
- Maguire, E. A. et al. (2000). Navigation-related structural change in the hippocampi of taxi drivers. Proceedings of the National Academy of Sciences, 97(8), 4398–4403.
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