前回は の地点で止まっていました。
4コマで先に見る
眠っているあいだに整う記憶
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1問題
開いた本とペン 徹夜で勉強しよう
学んだ日に睡眠を削ると、勉強したことをかえって失うことがあります。
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2しくみ
2つの神経細胞が枝を伸ばしてつながる瞬間 海馬がもう一度再生する
徐波睡眠のあいだ、海馬が昼の経験を再生し、長期記憶へ移します。
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3実践
三日月の下で布団をかけて眠る人 寝る前10分の復習
寝る前の10分で復習し、眠る時刻を固定し、明るい光を減らします。
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4変化
考えにふける人の上で灯る電球 朝はすっきり
7時間以上眠った日は、昨日学んだことがしっかり残ります。
試験の前の晩に徹夜で勉強したことがあるなら、翌日、頭の中がぼんやりしていた記憶もあるでしょう。睡眠は長いあいだ脳の「休み時間」だと考えられてきましたが、ここ数十年の研究はまったく逆の姿を示しています。眠っているあいだ、脳は昼間に入ってきた情報を選び、再生し、長く残る形に書き写しているのです。
ひと晩の眠りは、いくつもの周期でできている
睡眠はひとつの状態ではありません。浅い眠りから深い徐波睡眠へと下り、夢をよく見るレム睡眠へと上がってくる周期が、ひと晩におよそ4〜6回繰り返されます。ひとつの周期はふつう90分前後です。夜の前半には深い徐波睡眠が多く、明け方に近づくほどレム睡眠の割合が大きくなります。
海馬が昼間の経験を「もう一度再生」する
昼間に新しく経験したことは、まず海馬に一時的に保存されます。海馬は、すばやく書き込めるけれど容量はあまり大きくないメモ帳にたとえられます。深い徐波睡眠のあいだ、海馬は昼間に活動した神経細胞の順番を圧縮した形で再生し、この信号は大脳皮質のゆっくりした脳波や、睡眠紡錘波と呼ばれる短い脳波の高まりとタイミングを合わせて起こります。この過程を通じて、記憶はしだいに大脳皮質のより安定したネットワークへと移っていく、というのが現在広く受け入れられている説明です(Rasch & Born, 2013)。
動物研究では、ネズミが迷路を走ったときに順番に活動した海馬の細胞が、そのあと眠っているあいだに同じ順番ですばやく再び活動する現象が観察されました。人を対象にした実験でも、何かを学んだあとに眠ったグループのほうが、同じ時間起きていたグループよりも記憶をよく保っていたという結果が繰り返し報告されています。
では、睡眠を削ると何を失うのか
深い徐波睡眠は夜の前半に、レム睡眠は明け方に多いため、遅く寝ても早く起きても、それぞれ別の部分を失うことになります。睡眠は単なる「合計時間」だけでなく、その構造も大切なのです。米国睡眠医学会と睡眠研究学会は、成人が健康のためにひと晩7時間以上を規則正しく眠るよう勧めています(Watson ほか, 2015)。
今日の実践
- 学んだ日は、睡眠を守りましょう。 新しいことを覚えた日や試験勉強をした日ほど、睡眠を削るよりいつもどおり眠るほうが記憶には有利です。
- 寝る前の10分で復習を。 その日に学んだ要点を軽くおさらいしてから眠ると、その内容が眠っているあいだに処理される情報のリストに載りやすくなります。ただし、新しい内容を夜遅くまで詰め込むために眠りを後回しにするのは逆効果です。
- 眠る時刻を固定しましょう。 23時前後のように決まった時刻に床につくと、深い眠りが多い夜の前半を安定して確保できます。
- 床につく1時間前から光を減らしましょう。 明るい光はメラトニンの分泌を遅らせ、眠る時刻を後ろへ押しやります。朝の光についての記事もあわせてお読みください。
眠っているあいだに呼吸が止まっているようだと言われたり、十分に眠っても日中ひどく眠かったりする場合は、睡眠専門医の診察を受けるのがよいでしょう。
参考文献
- Rasch, B., & Born, J. (2013). About sleep’s role in memory. Physiological Reviews, 93(2), 681–766.
- Watson, N. F. et al. (2015). Recommended amount of sleep for a healthy adult: A joint consensus statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society. Sleep, 38(6), 843–844.
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